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「今日からお世話になります。恵大さんの親戚の高藤葵(タカフジ アオイ)です。」
エントランスホールで礼儀正しく挨拶をされる。
そんなことあるんかい!って掌付きで突っ込む。もちろん心の中で。
前も後ろも横も斜めも360度あの子だ。
あのコンビニの子。
「こんな急な話を受け入れてくれてありがとうございます。」
戸惑う私とは対照的に彼は丁寧に挨拶を続ける。背負っているリュックサック以外は、2泊3日程度荷物が入るトランクを一つだけ持って。
だから、
「ちょっと、待って!」
思わず声を張って、話を遮ってしまう。
「君……高藤くんって……」
「葵でいいですよ。恵大さんもそう呼ぶので。」
「あ、葵くんって、あのコンビニの……」
「そうじゃないって言ったらどうします?」
「えっ?」
そうじゃないってことは別の人?こんなに似てるのに?てかどう見ても同一人物なのに?
でも、真顔だし嘘をついているようにも見えない。
「瓜二つの双子がいるんですって言ったら?」
「本当!?」
瓜二つの双子ならあり得る?ある程度の年齢になってもすごく似ているのって珍しいけど……
「なーんてね。冗談です。右手、大丈夫ですか?」
「なっ……」
何じゃそりゃ!?真顔で言うから信じたのに!!冗談だと!!
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