初日から色々ダメなんですけど

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****  2週間でも一緒に暮らすとなれば、暮らすなりのルールが必要となる。私はローテブルにA4サイズの白い紙をおき、黒ペンを握ろうとして葵くんに渡した。 「ごめん、書いてくれない?」 「右手、そんなに痛むんですか?」 「無理できないのよ。鋏を握れなくなったら、私は仕事を失うわ。」 「……。」 葵くんはそれ以上は何も言わず黒ペンを右手で持ち、左手でペンのキャップを外してから、左手に持ち替えた。 「葵くんって左利きなの?」 「はい。生まれた時から。」 「そうなんだ。」 「それでどうしますか、ルール。」 そう、今はお互いに平和に暮らすためのルールを決めることが先決だ。 「ちなみに、葵くんは掃除が得意?」 私は普通だが掃除機をかけるのは好きではない。 「まぁそれなりにはします。恵大さんが掃除をしないので、俺がしていました。」 「よし、じゃあ君は掃除担当だ。その代わりに私が洗濯ね。一緒に洗濯した方が節約になるでしょ。」 洗濯は好きだ。青空の下で洋服やタオルを干している時間は、自分も洗われて、浄化される気持ちになるのだ。 「待ってください。洗濯担当って……あの……」 葵くんが俯いて口籠る。 もしかして…… 「下着のことを心配してる?大丈夫!男子高校生の下着を洗うくらい何とでもないから。」 そんなの大したことじゃない。男物のパンツなんて見ても興奮なんてするわけもない。 「俺が……俺が気になります。」
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