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頭が痛い。気持ちが悪い。
左半分だけズキズキする。スマホを見たら7時30分。茉莉からのメッセージ。
またお世話になったのか。
そろそろ自分でブレーキをかけれるようにならなくてはと思うのに。楽しい雰囲気に飲み過ぎてしまう。もちろんしょっちゅうではない。専門学校の友人と飲んだ時はってこと。例えば合コンとか(久しくないけど)、職場の飲み会とかで醜態を晒すようなことはしない。
口の中が気持ち悪い。歯を磨いて、頭痛薬を飲んで、お風呂に入って……あぁ、メイクしたまま寝てしまった。茉莉は家までは送ってくれるけど、いつも玄関先でバイバイはする。だから、私は不確かな記憶のままソファーに倒れ込むのが常で……
常なんだけど……
部屋だよね、ここ。自分で部屋に戻ったっけ?
あれ?
頬に手を触れる。なんか変。
睫毛を指先で摘む。
マスカラが付いていない。
んんっ?
顔認証でスマホのロックを解除して、メッセージを開ける。
[葵くんって子にお世話になったんだけど、あの子誰?]
と茉莉からのメッセージ。
血の気が引く。私、もしかして……
ベッドから転げるように下りて、部屋を出て、廊下を小走りで進み、リビングダイニングに繋がるドアを開けた。
開けたら、食事中の葵くんがドアの方を振り返り、目がばっちり合った。
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