真実はどこ?

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真実はどこ?

 冴華は上原を無視し、スマホを取り出した。メールが届いていた。差出人はなんと、死んだはずの絵梨花からだった。 『ジャーン!発売日に有給とって並んで買っちゃいました!今年の限定色です!ラス1だったぜ!イエイ!自分へのご褒美!』という内容に加えて、写真も送付されていた。ハイブランドの鞄を抱えてキメ顔の絵梨花が写っていた。  冴華の身体の中から温かい何かが湧き出してきた。良かった、と冴華は思った。でも、どういう事なの?冴華の思考は大きく波打った。  その時、落ち着いた女性の声が響いた。スマホから視線を上げると美しい女性がいた。上原の妻だ。思わず、冴華は目を見開いた。そして混乱の坩堝に叩き込まれた。 「貴方!はい。お弁当。今日は大事なプレゼンでしょ?チキンカツ入り弁当忘れちゃ駄目じゃない!」と上原の妻は言い、上原に手提げ袋を差し出し笑みを浮かべた。「あ。そうそう。昨日のトイレの件だけど、拓斗が流し忘れたんですって。貴方が空き巣かもしれないって言い出すから、言えなかったんですって」 「結局、誰が殺されたの?」と冴華は呟いた。  冴華が真実に気が付き、混乱が収まるにはまだまだ時間がかかりそうだった。
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