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あれはジイさんのとこに通いだしてから半年経った頃だ。夏は終わったハズなのに、暑い日が続いていたんだ。俺はいつものようにジイさんの寝ぐらに向かったわけよ。
すると、どうしてかいつもと違って騒がしい。何事かと思って、寝ぐらの上を旋回して様子を見たら、今まで見たことない若い男たちが笑いながらジイさんの寝ぐらを蹴ったり棒で叩いたりしてめちゃくちゃにしていたのが見えたんだ。
──大変だ!!!!
俺が、慌ててガァガァ声を上げていたら、若い男の一人がジイさんを寝ぐらから引きずり出してきて、足で踏みつけた。
俺はそれを見て、ブワッと全身の血が沸騰するような感覚を感じた。その後のことはよく覚えてない。ガッ!!!! ガッ!!!! と叫びながら、とにかく無我夢中で男達を突いた。気づいたら、男達は逃げていく行った。
ガァァァァ!!!! (もう二度と来んじゃない!!!!)
俺は大声で叫んでやった。
ジイさんはボロボロだったが、──まぁ、いつもボロボロなんだが──大した怪我もなくてピンピンしてたよ。
男どもがいなくなった後、
「あぁ、ダイゴロウ、、、、ありがとう。本当にありがとう」
って言いながら、ジイさん、震える手を合わせて俺を拝んでくるもんだから、居心地が悪くて仕方なかったな。
なんでジイさんを助けたのかって?
──なんでだろうな……。ジイさんに俺たちカラスを重ねたのかもしれないな。一生懸命に生きてるだけなのに、俺たちカラスはニンゲン様に嫌な顔ばかり向けられる。ハトやスズメと変わらないのによ。黒いから縁起が悪いとか、ニンゲン様の勝手な言いがかりだろ?
ジイさんだって、一生懸命生きてるだけなのに……
だから、あの男どもを許せなかったんだな。
別に、ジイさんのためじゃない。俺の自己満足だ。それに、メシが貰えなくなると困るじゃないか!
まぁ、そんなことがあってから、俺は毎日ジイさんの様子を見に行くことにしたわけよ。
エライだろ? 我ながら、面倒見が良いなって感心するわ。
あの後、ニ、三度例の男どもがやってきたけど、俺を見るなり引き返して行ったな。とんだ腰抜け野郎共だぜ。
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