恋愛認知度

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恋愛認知度

「そうね。社内恋愛は難しい事もあるのかもしれないけど、本当に好きなら想いはちゃんと伝えればいいのにね」 「そうでしょう? 私もそう言ったんだけどね」 「美耶子も会ったの? その人に」 「うん。なかなかのイケメンだったわよ。紹介しようか? 披露宴にも来てくれるから、アドバイスしてあげてよ」 「私が? 私に恋愛相談は無理よ」  恋愛経験は乏しいんだから……。 「そうよね。昔から恋愛に関しては鈍感なとこあったからね」 「私が鈍感?」  えっ? そうなの? 免疫が無いのは認めるけど……。 「そうよ。高校の時に生徒会長だった石川君覚えてる?」 「あぁ、うん。覚えてるけど」  成績優秀で女の子に人気があった。 「彼、未緒のこと好きだったのよ。気付いてもいなかったでしょ」 「まさか、ありえない」  誰にでも笑顔で接してた、みんなの憧れの彼が? 「だから鈍感だって言ってるの。それから大学の大城先輩」 「アメフト部の?」  他の大学にも彼のファンクラブがあったらしいと聞いた事がある。 「そうよ。彼も告白も出来ずに失恋だって言ってたわよ」 「嘘……」  まさかそれはないでしょう……。 「全く気付いてないでしょ。他の事には敏感なのに、どうして男の気持ち分かってあげられないかなぁ」 「知らなかった……」  本当に全く。考えた事すら無かったわ。 「ほらね。困った人よ、未緒は。いろんな人から愛されてるのに全く自覚がないんだから。もうちょっと男性の視線とか意識しなさい」 「どうやって?」 「何気なく目線を変えた時に、男性と目と目が合ったりする事ない?」 「でもそれは私の近くとか、私を通り過ぎた先を見てるかもしれないでしょ」 「未緒はさ、もう少し自意識過剰になった方がいいわよ。建築とかインテリアなんて仕事してるんだから空間認知度は高いはずでしょ。その空間の男をもうちょっと認知しなさい。無視してるとしか思えない」 「そうなのかな」  学生時代から恋多き美耶子には敵わない。 「瞳たちも言ってたわよ。たとえばスーパーに買い物に行くでしょ。レジの若い男の子がジッと瞳のこと見たりするんだって」 「だって瞳は昔から綺麗だったもの。ミスキャンパスに選ばれたでしょう?」 「だから、そういうちょっとした出来事にときめいていられたら、結婚してても艶やかで美しく居られるんだって言ってたわよ。ミセスになっても子供が居ても女を捨てちゃいけないんだって」 「瞳、そんなこと言ってたんだ」 「要は気持ちの問題よ。だからって不倫する訳じゃないし、ご主人にも充分愛されてるし、とても子持ちには見えないくらいに綺麗よ」 「そういうものなんだ」  自意識過剰ねぇ。私は自意識不足なのかな。 「もう少し周りを見なさい。きっと居るわよ。美緒を見てる男が」
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