VI

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VI

 爽やかな朝日に包まれて、ジュリアは目を覚ます。汗を拭きに来たメイドが驚きの声を上げた。 「お嬢様!」 「演習は? マルコは......!?」  どうやらジュリアは一週間ほど眠っていたらしい。演習はとうの昔に終わり、戦争が始まり、そしてーー。 「マルコは......」  これを、とメイドが布に包んでジュリアに渡したのはマルコがしていた筈の奴隷の首輪であった。 「えーー」  首輪には焼けこげた跡があった。マルコはパニーク家の秘宝を盗み、罰としてジュリアの父がマルコに【パニーク】を掛けて追放したのだと言う。焼けこげたような遺体の影とこの首輪だけが残ったそうだ。 (マルコがーー死んだ?)  突然の展開にジュリアは、声を失った。
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