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VIII
その頃、ジュリアはお見舞いに来たミニスターと共に平原を見下ろせる丘まで来ていた。
「マルコ......」
「いつまで落ち込んでるんだよ」
「着いてこなくて結構ですわ」
ここはマルコとよく二人で修行をした思い出の場所だ。しかし、今や平原には魔法王国軍とキカ•イース国の軍が互いに睨み合っている。
そこに、フラリとマルコが現れた。
「マルコ......!? 生きて!?」
「お嬢様。お話があります」
*
マルコは今までの全てをジュリアに打ち明けた。スパイのこと、未来予測のこと、それでもジュリアのことは殺せないこと。
「このままではお嬢様は戦争に巻き込まれます。私はお嬢様を戦争に関わらせたくない」
「マルコ......」
「私はお嬢様を殺すためにこれを渡されました」
マルコは上着を左右に開くと、腰に巻きつけた幾つもの筒状のモノを見せつけた。
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