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ミニスターは、皆様お察しの通り精神年齢が些かガキであるので、こんな態度ながらもジュリアのことを恋愛的に好いている。しかし、素直になれないミニスターは彼女を貶すことでしかコミュニケーションが取れないでいた。
「今日はお前の誕生日か。来週はついに婚約式だな! お前みたいな見てくれは良いが魔力が初等学園の奴! 婚約破棄してやりたいが家のためだから我慢してやろう」
そう、今日はジュリアの16歳の誕生日。プレゼントを持ってきているにも関わらず素直に「おめでとう」と言えないミニスターはいつもより少し言い過ぎてしまう。
そのことで、ジュリアから思わぬ一言を返されるとも思わずに。
「あら、貴方も? 私も貴方とはもうずっと婚約破棄したいと思っていたの」
「な、なん、だ、と!?」
固まるミニスターを気にもせず、ジュリアはチラリと馬車を振り返る。もう声は聞こえない距離だからと、見送りに来ていた黒髪の教育係の男を見て彼女は微笑んだ。
「私、好きな男が出来ましたの」
満面の笑顔と共にポニーテールが揺れる。
これは、落ちこぼれ魔術師と鈍感教育係の恋と戦争の物語である。
ミニスターは......まぁ、あまり関係がない。
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