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 【パニーク】はあまりにも危険な魔法であるため、奴隷以外に発することは禁じられている。  マルコは日に一回は【パニーク】を受けているが、積み重ねたダメージですら精神の錯乱を引き起こすことはなかった。  狂わない奴隷はその人間性からかいつしか彼女の教育係として彼女から、そしてパニーク家から認められるまでとなっていたのである。  マルコは今日もソッとジュリアに手を差し伸べる。 「大丈夫です。前より少しだけ、ほんの少しだけですが、効いたように感じます」 「マルコ......!」  ジュリアはままらならない魔法練習の中で一人優しい言葉を掛けてくれる教育係に親愛と、尊敬と喜びと希望とその他重苦しい感情を徐々に感じていった。
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