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III
話はフられ婚約者ミニスターの元に戻る。
「す、すすす好きな男!? 俺以外に!?」
「貴方を好きになる要素がどこに?」
ジュリアはあくまで上品に告げる。
「その内婚約破棄の書状をお送りします。ーーさ、今日は遠征でしょう? 授業に行きましょう」
*
「諸君! 戦闘訓練の時間だ」
今日は国境付近の森で高火力魔法の実演であった。30名ほどの魔術師達がローブを纏い、的に向かって魔球を放っている。
「見ろよ。ジュリアの奴」
「落ちこぼれって本当だよな」
何人もの生徒達がジュリアを見てヒソヒソと噂をする。それもそのはず。付近の生徒達が頭2つ分の火や水の魔球を放つ中、ジュリアの杖から放たれたのは小指ひと関節分の炎のみ。
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