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「しかし、その姿さえもお美しい......」
「魔球ではないが綺麗な火が舞ってるな」
「まるで妖精が火と戯れているようだ!」
ジュリアは出力こそ悪かったが、それ以外が完璧であったため、ミニスター以外からは常に尊敬の眼差しで見られている。
「ジュリア=パニーク!」
引率の先生がジュリアを呼び止めた。
「相変わらず魔力はほとんどないが、素晴らしい魔法陣の反応速度と正確なフォームだ。他の生徒に教えてあげなさい」
「先生。いつも落ちこぼれの私に大役を任せていただきありがとうございます」
「うむ」
(こうして私が皆に認められるようになったのも、マルコのおかげ。腐っていた私に努力の大切さを教えてくれましたわ。やはりマルコに想いを伝えなければ)
ジュリアは術の操舵が今ひとつなミニスターにもアドバイスをおくる。
「ふん、いい気になるなよジュリア」
「ミニスター、あなたもいずれは令嬢と番いになるのですから、態度には気をつけるんですよ」
ミニスターはジュリアに聞こえないように小さく呟いた。
「クソっ。今も未来も俺が婚約者だっつの」
そのとき、甲高い叫び声が響いた。
「きゃぁぁぁあああ!」
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