第二章(第二視点)

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第二章(第二視点)

 僕は今日あの女の子に出逢えてよかったと思った。それに、思っていることを話せるということは、実に清々しいものだと思った。  僕はこれまでに人と話をしてよかったなんてことはなかった。学校で、家で、遊び仲間にだって本当の感情を出したことはなかった。正直しんどかった。僕は他人から見た時どう思われるかなんてどうでもよかった。でも、いつの日からか気にするようになってしまっていて、自分の印象を知った。  その時に思ったのだ。他人と話すことがしんどいのに、どうしてひどく思われなくちゃいけないんだ。僕はそうかと思った、他人と話さなければいいんだ。なんでそんなことに今の今まで気づかずにいたのか、そう馬鹿を見てさらにしんどくなった。  それからの僕は、狂気じみていた。いろんなものが面白く見えて、いろんなものがおかしく見えて、いろんなことが滑稽だった。でも、一人でいる事は優雅であって、自然にいるときは、心を沈ませた。それに、冷たい雨の降る日は、私の心を沸き立たせるものがあった。  それが転じてキャンプをするようになったのだ、そうして、あの蝶、焼蝶に出会い、女の子に、蜜花に出会うことになったのだ。
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