PANIC in the CiTY

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 ***    22XX年、人類は新しい力を手にしていた。  人間の脳の力は、かつて2割ほどしか使用されていなかったらしい。それを活性化する技術が発見されたのは、50年ほど前のことである。  その技術が確立され、すべての人間に施されたが、どういうわけか、その1%は、もとの能力が上昇するに加え、彼ら固有の特別な能力——いわゆる超能力に目覚めたのだ。  そこで問題になったのは、能力者による犯罪である。人智を超えた力を手にした者には、その力に溺れたのか、犯罪に手を染める者が多くおり、群衆を混乱に陥れた。彼らはいつしか、パニッカーと呼ばれるようになった。  強力な能力者による犯罪は極めて危険で、非能力者には太刀打ちできない。そこで生まれたのが、超能力者のみで結成された軍特殊部隊である。年齢や性別、その人格さえも不問な彼らは、しかし、全員が強力な超能力の持ち主だ。  はじめ、軍特殊部隊によるパニッカーの捕獲は、群衆の不安を煽らないように、秘密裏に行われていた。しかし、能力者たちによる戦闘は派手で人々の興奮を湧き立たせるものである。偶然、それらの戦闘を目撃した人々によって、軍特殊部隊と犯罪者の超能力バトルの存在は拡散されて多くの人の目に触れるようになった。  そうしていつしか、一種の娯楽として、軍特殊部隊によるパニッカーの捕獲は群衆の喝采のもとで行われるようになったのである。やがて、人々は平和を求めて恐ろしい能力を持つ犯罪者に立ち向かう彼ら、軍特殊部隊を、敬意を込めてこう呼ぶようになった。曰く、ヒーロー、と。    ***
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