0人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと目を開けたら、部屋は真っ暗だった。俺は勢いで起き上がる。寝ていたのだ。
「い、いま何時っ!?」
焦って叫ぶと、目の前にパネルが出てきて時間を知らせる。光るパネルが示すのは……21:00、やばい!
「民間放送をつけて! 7チャンネル!」
部屋の電気をつける間もなく叫ぶ。光るパネルは瞬時に映像を変えた。
『さあ今夜も始まりました! “PANIc in the CiTY” 司会は私、リリック・プレンと、』
『ユーリ・ティアノーがお送りします!』
俺はほっと一息をついた。よかった、間に合った。
『今夜はですね、なんと、あのレジェンド・ヒーローのアルテミスがパニッカーと緊急戦闘中、ということで……』
『その様子を生放送でお送りいたします!』
「っ、アルテミスが……!?」
俺は思わず身を乗り出した。アルテミスの戦闘が生放送で見れるなんて、ついてる。
『戦闘を中継する前に、もちろんみなさんご存知とは思いますが、アルテミスについておさらいしたいと思います!』
言うが早いか、パネルにしなやかで細身な男性の姿が映し出される。
『アルテミス・ダランク。30歳で陸軍特殊部隊の准将に登り詰めた超エリートで、超強力なサイキッカーなんですね。アルテミスのこれまでの戦歴は……』
俺はいらいらとして、目を強く擦った。
そんなの、そらで言えるくらいには暗記してる。それより、早くアルテミスの戦いを見せてくれ。こうしてる間に、戦闘が終わってしまってたら、どうしてくれる。
『ではみなさんお待たせしました! 中継に繋ぎます。現場のリリアーン、聞こえてますかー?』
途端、女性アナウンサーのドアップを最後に、画面が切り替わる。やっとだ、と俺は興奮でシーツを握りしめた。
『はーい、こちら現場のリリアン・ミシュです』
『リリアン、アルテミスはどのような様子でしょうか?』
『はい、アルテミスはパニッカーを追っており、私たちも空中車で彼らの行方を追っています。今回のパニッカーは水を操るサイキッカーで、街の水道や川などに被害が出ています。アルテミスは一度パニッカーを追い詰めましたが、隙を見て逃げ出してしまった状況です。……あ、アルテミスです! ビルの屋上に立つのは……! 追いつきました!』
最初のコメントを投稿しよう!