山賊の王女

1/7
前へ
/52ページ
次へ

山賊の王女

 幼い頃に誘拐された王女のエリザベスは、6歳とは思えぬほどに冷静沈着で山賊たちを圧倒した。頭脳明晰な物言いと、才知に富んだ計略で山賊たちを手助けしたエリザベスを、山賊たちは自らの手で大事に育てることにしたのだった。  エリザベスを溺愛し、父のようにして育ててきた首領のバンパは、12歳となり美貌の片鱗を見せ始めたエリザベスに不安を感じ始めていた。  山賊と生活を共にしていても、その優美さと品位を失うことはなく、立ち寄った廃屋にある僅かばかりの書物からも知識を吸収し続け、その頭脳を磨くことを怠らなかったエリザベスは、山賊共にとっては神のように神聖な存在であった。  しかし、成長して美しく引き締まった肢体が目立つようになると、女に飢えた山賊共にとっては欲望の対象になりかねなかった。彼女に手を触れようものなら仲間からめった刺しにされても文句は言えないほど愛されているため、誰もがその欲望を抑えようと心がけてはいたが、敵と遭遇したときに、万が一にでも自分たちが負けるようなことがあれば、エリザベスは敵の慰み者になってしまう。  そう考えたバンパは、どんな屈強な男にも負けぬようにエリザベスを鍛え上げることに決めた。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加