山賊の入城

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「リズ、もういいんだ。お前は自分の親の元へ帰って来られたんだ。もう俺の側にいる必要はない。怪我も大したことはないし、捕まったからと言って殺されることもないだろう」 「私はもう王女ではなく山賊なのよ。血が繋がっているからと言って、私だけその罪を咎められないなんておかしいわ」 「リズ、お前は俺に(さら)われただけなんだよ。お前は生きるために山賊になっただけだ。それしか道はなかったのだからな。自分から選んだことじゃないんだから、お前に罪はないんだよ」 「そう言うならバンパ、あなたもそうだし、みんなもそうだわ。親が山賊で、それしか生きる道がなかっただけじゃない。自分で選んだものじゃないでしょう」 「この世は生まれた時に道は決まっているんだ。お前は王女だ。俺は山賊だ。お前はたまたま10年間だけ山賊の道に寄り道していただけなんだよ」 「私が選んだ道なのよ。あの時殺されても売られてもよかったけど、山賊として生きる道を選択したから今ここにいるんじゃないの」  バンパは痛みと疲労でそれ以上会話を続けることができなくなり、目でその旨を訴えると、すぐに寝息を立て始めた。  エリザベスはしばらくバンパの寝顔を見守っていたが、やがて立ち上がり、自室にと充てがわれた部屋へと向かった
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