山賊の入城

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「お父様、お母様、私は特別なのですね?」  エリザベスの表情がガラッとと変わった。笑顔は消え、視線は鋭く王を見据えている。 「……そうだ。さすがに気がついたか」  父も真剣な眼差しを向けて答えた。 「12のときに」 「普通よりも早い。自然に気づくとしては異例だ。やはり特別だからか」 「山賊として生きる女の身を守る術として、戦い方を習うことになりました」 「そうか」 「私が(さら)われた理由がそのときにわかりました。首領を含む山賊たちはそこまで知らなかったようですが、私が特別であるという噂を耳にしていて、金になると考えて及んだ犯行だったようです」 「そうなのか! じゃあ奴らは知らずに(さら)ったのか。そうだったのか」  懸念が一つ晴れたというような表情で父は言った。 「知っているのは怪我をして療養している首領のバンパだけです。そのバンパは私のことを理解しておりますので、他に漏らすことのないように気を使ってくださいました」 「……わかった。そやつのことは配慮しよう。もちろん他の仲間についても」 「ありがとうございます」 「だから、お前も山賊だなんだと言っていないで王女として父と母の元へ戻ってくるんだ」
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