王女の護衛

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王女の護衛

 バンパはエリザベスが自分から離れようとしないことに、嬉しさを感じつつも危惧を抱いていた。  仲間のほとんどが殺され、残された数少ない山賊ではエリザベスを守ることはできない。  これまではエリザベスの知能と存在が仲間の希望であり支えでもあったから、皆で力を合わせて彼女を守ってきていたが、もうそんなことは出来ないし、必要もなくなったのだ。エリザベスを側に置いておく謂れはない。  襲ってきた敵はエリザベスを狙っていた。10年前、王女が特別だという噂を聞いてバンパは(さら)ったのだが、それがどういう意味でのことなのか、内容までは噂になっていなかった。それから時が経った今では、彼女のその力の秘密が漏れ聞こえるようになってしまったのかもしれない。  もしもその理由からエリザベスが狙われたのだとしたら、国家の力を借りる以外にないだだろう。 「お呼びでしょうか」  クリストファーがバンパの部屋の入口付近に立っていた。 「騎士団長、話がある」  バンパはベッドから起き上がりそう言うと、クリストファーを見据えて不敵に笑った。
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