王女の護衛

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 この国では、16歳になり成人したときに、生涯をかけて鍛える技能を選ぶことになる。  (とう)(せい)(さく)(のう)(えん)と、5つの技能の中から、得意なものをを選んで磨いていくか、会得したいものを選んで覚えていくかを選ぶ。習得の道は険しく、よほどの天才でない限りは、生涯で一つの技能しか得られない。  得意な技能は生まれたときに既に決まっている。国に十人しかいない魔道士の誰にでも、生まれた赤ん坊を見せに行くと、特殊な技能を用いて教えてくれるのだ。両親はそれを成人した我が子に伝え、子供はそれに沿って選択するか、自身の考えた展望で選択をするかを決めることになる。それが成人の証になるのだ。  クリストファーは(とう)だった。自らも希望していたし、得意な技能でもあったため、迷わずそれを選択した。22歳になる今までの6年間、能力を研磨してきた。  (とう)というものは攻撃の能力でもあり防御の能力でもあるから、様々な技術を会得することができる。猛者であれば、武器がなくとも自らのエネルギーを攻撃や防御に使うことができる。動物よりも早く動くことも、植物のように気配を消すことも可能だ。  彼は天才だったし、努力家でもあったため、能力を高めることと、それに関連すること以外に時間も労力も使わずにきた。それがゆえに国で最も腕のたつ騎士になれたのだった。
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