山賊の王女

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 それから4年、16歳の成熟した美しい娘となったエリザベスは、仲間のうちの誰よりも強い戦士としても成長していた。最強の山賊と謳われるバンパでさえ、10回戦ってひきわければ良い方というところまで力をつけていたのだ。 「リズ、ここまで強くなれば少しは安心かもしれないが、それでももっと強いやつはいるだろう。もしお前が負けるようなことがあれば、命を賭してでも助けてやるからな」 「バンパ、そのようなことにはならないと約束するわ。万が一敵の手にかかるようなことがあれば山賊の一員らしく自らを手に掛けることは厭いません」 「お前が死ぬようなことだけはなんとしてでも避けたい」 「人は死ぬものよ。私だって6歳のときに死んでいてもおかしくなかった」 「お前をこの手にかけなかったことを神に感謝をしている。お前に出会えたことで俺達がどれだけ救われたか、お前にはわかるまい」 「バンパ、私もあなたたちに感謝をしているのよ。王女として過ごす以上に実のある日々を送ることができたのだから」  リズのその言葉に喜んだものの、それを表には出すことは山賊らしからぬとして顔をそむけたバンパは、それまでの目の位置からは死角になっていたところへと忍び寄っていた影に気がついた。
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