王女の護衛

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 自分が5つの技能のすべてを自在に操れることを12歳で知ったエリザベスは、バンパと共にそれらの技能を磨き、エリザベスにしかできない能力を生み出すことに決めた。  それからの4年間は、護身の術を訓練するためと言って、バンパと二人きりで試行錯誤をしながらエリザベスの能力を研磨していく日々だった。  そして16歳になる頃にはバンパも敵わぬほどの戦士となったのだ。  エリザベスの特別な力は100年に一人の確率でしか得られぬもので、これまでにも悪用するために誘拐されたという話はたくさん残っている。  希少な力を手にするべく、様々な勢力が狙うことになるのは必然だった。  バンパはそんなエリザベスを守るために、本人に身を守る力を教授した他に、エリザベスがその能力の保持者だと気づかれないようにも気を使っていた。戦うときは必ず一つの能力だけに絞るようにと教え込んだし、なるべくなら彼女が戦えることすら隠そうとした。  しかし、クリストファーのように見る目のある者から見ればすぐにわかってしまう。どんなにエリザベスが抑えようとしても、元々持っている技能を個別に分けて扱うことは難しいためだ。  そういったことからも、エリザベスの戦う姿を見た者が気づいて、それを広めてしまうことは必然だったと言えよう。  4年はもったほうかもしれない。
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