王女の護衛

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 エリザベスは自身の価値を楽観視していたが、そのために刺客に襲われることになり、大勢の仲間が殺されてバンパも傷を負うはめになったことで、自身の考えを変えねばならなくなっていた。  能力を磨き成熟した今、バンパでも敵わなかった自分を失神させた男が現れて、それが自身を守る騎士団長であることに少なからず安堵を抱いたが、それと同時に恐怖も抱いたのだ。  王国随一と言われる騎士であるとしても、同様な力を持つ者は他にもいるかもしれない。それよりも、もしクリストファーが寝返って自分を捕らえようとしたら……  クリストファーに対する評価を上げたエリザベスだが、もっと彼に接近して注意深く観察してみなければならないとも考えた。  それを相談するためにもエリザベスはバンパのところへ訪ねることにした。 「バンパ、目覚めてる?」  バンパの部屋の入口に寄りかかってエリザベスは問うた。 「あぁ、リズか?」  まどろんでいたバンパはエリザベスの声で覚醒したようだ。  エリザベスの方を向いて力なく笑っていたバンパを見て、エリザベスは足早に近寄った。 「バンパ、あのクリストファーと言う騎士のことをどう思う?」  バンパのベッドの横に跪いて目線の高さを合わせた。 「なんだ、いきなり」  エリザベスがいつかは聞きに来るだろうと思って答えを用意していた問いだったが、今初めてそれについて考えている振りをして答えた。 「そうだな。あれは強いぞ」
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