王女の護衛

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「エリザベス様は男性に手を取っていただいたご経験がおありですか」  クリストファーは咳込みながらも、それを必死に抑えようとして答える。 「山賊の娘だけど、私に手を触れる者はいなかったわ。王女だった時代に作法として見聞きしたことはあるけど」 「それでは私のことを言えないのでは」 「まだ成人したばかりですもの。これから覚えていくことよ。あなたはもう22でしょう?」 「騎士に家族は必要ありません」 「そうなんだ」  エリザベスが目を丸くして驚きの声を上げた。 「でも男性なんだから少しくらい女性に興味があるのではないかしら」 「このように女性とすることは初めてのことです。そういったことには全く興味はありません」  平静さを取り戻したクリストファーは、言外に皮肉を含ませた。 「つまんないわね。それじゃあ家族はどうしているの?」 「家族は辺境の地で牧畜をして暮らしています。騎士団長に抜擢していただいたことで家族も優遇していただき、土地や資金の援助をいただいきまして、幸いにも生活に苦労はありません。王様に感謝をしております」  そこの部分での不満はなさそうだ、とエリザベスは心の中で呟いた。 「友人や他の親戚とは?」 「友人と言えるのか、騎士団の仲間たちとは良い関係を築けていると思います。他の親戚は家族と共におります」  その線も大丈夫そうだと感じたエリザベスは、さらに質問を続けた。 「報酬は? 趣味は? 賭け事や酒盛りを楽しむだけのお金はあるの?」 「不満はありませんが。エリザベス様、一体どういったつもりで色々とお聞きになられていらっしゃるのですか」  エリザベスの意図が読めず、困惑した表情を浮かべている。
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