王女の護衛

12/14
前へ
/52ページ
次へ
「あなたのことを良く知ろうとしているだけよ」  その返答だけでは不満だったクリストファーは、自分もやり返すことにした。 「エリザベス様のご友人は?」 「私の? ほとんどが殺されました。残った仲間は宿屋におります。ご存知のようにバンパも健在です」 「他には、例えばこの街にはいらっしゃらないのですか?」 「子供の頃の友人がおりますが、まだ会っていません」 「お会いしないのですか?」 「そんなことあなたに関係はないわ! なぜそんなことを聞いてくるのですか!」  エリザベスは激高した。 「エリザベス様と同じ、をしているだけです」  エリザベスはやり返されて一瞬反応に戸惑った。 「わかりました。あなたは将来何をやりたいの? 何か目指しているものや欲しているものはあるのですか?」  エリザベスは冷静になろうと努めながら質問を続ける。 「騎士に未来の展望はありません。与えられた職務を遂行するだけです。先を考えることは必要ありません。エリザベス様はどうなさるのですか? 山賊に戻られるのですか?」 「戻るも何も今も山賊です!」  エリザベスは最初の意図からズレ始めていることに苛立ってきた。 「もう一緒に賊をする仲間はいなくなってしまったようですが、それでも山賊にこだわるのですか? ご両親の元へ戻られて、不自由なく過ごせていらっしゃるのに、また不自由な山賊に成られるのですか?首領を含めても4人しか残っていないのに?」  エリザベスは堪忍の尾が切れた。  あまりの怒りに顔は赤くなり、身体は震えていたが、それを抑えようとして冷静な口調に努めて言った。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加