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「あなたのことを良く知ろうとしているだけよ」
その返答だけでは不満だったクリストファーは、自分もやり返すことにした。
「エリザベス様のご友人は?」
「私の? ほとんどが殺されました。残った仲間は宿屋におります。ご存知のようにバンパも健在です」
「他には、例えばこの街にはいらっしゃらないのですか?」
「子供の頃の友人がおりますが、まだ会っていません」
「お会いしないのですか?」
「そんなことあなたに関係はないわ! なぜそんなことを聞いてくるのですか!」
エリザベスは激高した。
「エリザベス様と同じ、お喋りをしているだけです」
エリザベスはやり返されて一瞬反応に戸惑った。
「わかりました。あなたは将来何をやりたいの? 何か目指しているものや欲しているものはあるのですか?」
エリザベスは冷静になろうと努めながら質問を続ける。
「騎士に未来の展望はありません。与えられた職務を遂行するだけです。先を考えることは必要ありません。エリザベス様はどうなさるのですか? 山賊に戻られるのですか?」
「戻るも何も今も山賊です!」
エリザベスは最初の意図からズレ始めていることに苛立ってきた。
「もう一緒に賊をする仲間はいなくなってしまったようですが、それでも山賊にこだわるのですか? ご両親の元へ戻られて、不自由なく過ごせていらっしゃるのに、また不自由な山賊に成られるのですか?首領を含めても4人しか残っていないのに?」
エリザベスは堪忍の尾が切れた。
あまりの怒りに顔は赤くなり、身体は震えていたが、それを抑えようとして冷静な口調に努めて言った。
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