首領の行方

1/4
前へ
/52ページ
次へ

首領の行方

「かなり良くなったみたいね、バンパ」  エリザベスはにこにことした笑顔でバンパに向かって言った。 「そうだな。もう大分良くなった」  バンパも笑みを返した。 「もうそろそろ外へ出てもいいんじゃない?」 「明日くらいには出てみることにするか」 「そうしましょう! バンパに見てもらいたい技があるの。直して欲しいところもあるし。見張りがいるから外へ出たときに見せたいの」 「わかったわかった」  バンパは幼い娘を諭すように笑顔を大きくした。 「じゃ、明日ね。見せるために練習しておくわ」  エリザベスはそう言うと機敏に立ち上がり、浮足立って出口の方へ向かった。 「リズ!」  バンパは声を上げて呼び止めた。 「なに?」  エリザベスは朗らかな表情で振り向いた。 「お前が王女だということが気づかれたとしても、能力のことは隠せるだけ隠すんだ。確証があるわけじゃないから、ただの王女だと思わせることはできるはずだ」  いきなりの言葉に驚いたエリザベスは、バンパの意図を伺うように目を見開いた。 「王の言う事を守るんだ。絶対にクリストファーから離れてはいけない。それだけは約束してくれ」 「バンパ? どうしたの?」 「約束してくれ」  バンパの必死な表情に気圧されたエリザベスは戸惑いながらも頷いた。 「約束する。どうしたのバンパ」
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加