首領の行方

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 翌日になり、エリザベスの散歩の時間になると、クリストファーを引き連れてバンパの部屋へと迎えに行った。  今日はバンパも共に散歩へ出て、訓練の成果を見てもらうのだ。  バンパの部屋の近くへ行くと、エリザベスは立ち止まった。  部屋のドアが閉まっている。  バンパの部屋のドアは閉められないように釘で打ち付けてあったはずだ。  不安に駆られたエリザベスは急いでドアに近づきノブを回すと、愕然として立ちすくんだ。  そこにバンパの姿はなかったのだ。  室内を探してもバンパの所持品などの荷物も何もない。焦ったエリザベスは、先に出かけてしまったのだろうかと思い当たると慌てて探しに駆け出した。  城内をあちこち探しても見つからず、街中へ入って山賊仲間のいる宿屋へも行ったが見つからない。  午後いっぱい探し歩いたがバンパの姿を見つけ出すことはできなかった。  クリストファーは無言のままエリザベスと共に探し歩いていたが、探し疲れて広場のベンチに座り込んだエリザベスを見て声をかけた。 「エリザベス様、もう戻りましょう。おそらくもう見つかりますまい」  クリストファーの声を聞いて彼の存在を今まで忘れていたことに気がついたエリザベスは、立ち上がってクリストファーに詰め寄った。 「クリストファー、あなた何か知っているの?」
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