王女の選択

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 騎士とは、騎士団長と呼ばれる者の力とは、これほどのものだったのか。  これまでクリストファーを自分の下のレベルに置いて見ていたエリザベスは、個の対戦では気付けなかったクリストファーの実力を目の当たりにして心底驚いていた。 「クソ!王女を守っていたのは騎士団長だったのか」 「国一番の猛者だぞ。そう簡単にはいかない」  敵の話す声が耳に入ってきた。  エリザベスは技を繰り出し、相手を打ち倒しながらもクリストファーの攻撃に魅入っていた。  敵のほとんどがクリストファーの手によって倒れ伏し、エリザベスが対応すべき敵はほとんどいなかった。  その時、クリストファーが5人の敵から一斉に囲まれ、それを新たに現れた砲台が共に爆撃を放射していた。味方もろともの攻撃にクリストファーは怯んだ。  目で追っていたエリザベスはすぐに状況を判断し、クリストファーの方へと駆けた。  エリザベスの技能で周りの草木が反応し、砲台に絡まると、爆撃の二発目は逸れた。  敵の目前にまで迫っていたエリザベスは、技能で敵の剣先を曲げ、クリストファーと敵との間に滑り込み、攻撃を受け流した。  今まで考えもつかなかったことを無意識に思いつき、それらの攻守を一度に繰り出した。  考えるよりも先に次々と技を繰り出し、クリストファーと共に応戦した。  クリストファーも王女を守ることをやめ、全意識を攻撃に切り替えた。
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