山賊の王女

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 エリザベスは再び跳躍し、バンパに向かっていた敵の横から体当たりをして相手のバランスを崩すと、相手が態勢を整える前に急所である腎臓のあたりを拳で突いた。相手は悶絶して倒れたのでそこから離れ、エリザベスはバンパの背後に回ると背中を合わせて残りの三人を待ち受けた。  すると突然、バンパの左肩に矢が突き刺さった。  目の前にいる三人は弓も矢も持ってはいない。三人を注視していたが、動きを見せた様子はなかった。まだ仲間がいるということか。  エリザベスとバンパは、矢の射られた方角から身体を隠すようにして木の裏へと回った。瞬く間にその木の幹に数本の矢が突き刺さる。  三人が向かってくるのを素手と短剣で応戦しながら、矢も気にしなければならず、エリザベスとバンパは思うように戦うことができずにいた。  仲間が気づいてくれればいいが。そう考えながらも二人を倒し、残った敵と睨み合った。  バンパは肩の傷から血が流れ続け、かなりの量に達していた。呼吸が荒くなっている。  最後の一人が動きを止め、バンパの顔を見て薄笑いを浮かべた。 「バンパ、お前のお姫様は、本物の王女様という話じゃないか」
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