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エリザベスは決意を固めて跳躍した。クリストファーの近くへと飛び込むと、再び呼吸を合わせて攻撃を繰り出した。
先ほどの敵よりも強い。全く敵う気がしないが、クリストファーが絶妙なタイミングで助けてくれる。エリザベスもそれに応えて、クリストファーに生じた隙に合いの手を入れた。
二人でどんどん打ち倒していく。クリストファーは剣で薙ぎ払い、エリザベスは技能を繰り出した。
視線を合わせるたびに勇気が湧き、呼吸を合わせるたびに安心する。
二人は共に戦った。
しかし相手は技能も人数も上手だった。次第に追い詰められ、にじり寄られてしまう。エリザベスとクリストファーは敵を散らせようと全速力で駆けていた。草木を分け入り、集団で襲ってこれないように木が乱立している木立を目指して走っていた。
エリザベスは覚悟をした。これが最期かもしれないと思った。
国と両親が心配だったが、特別な力を持つ者と国一番の騎士団長が敵わぬのなら、それはもう運命だったと思うしかない。
エリザベスはクリストファーに目を向けた。
さようなら。
そう言葉にしようとしたが、クリストファーの目はまだ希望の光が瞬いていたのだ。
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