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エリザベスの心臓は脈打った。こんな男は初めてだ。
そう意識した瞬間、彼を愛していることを自覚した。
愛しているのだ。
そう思い至ったとき、エリザベスの力は溢れ出てきた。
遠い昔、生まれたばかりの頃、両親が魔道士の元へとエリザベスを連れていったときのことが思い出された。高まった技能の力で、記憶が鮮明に再生されたのだ。
『全ての技能を操れる者は、愛する人ができたときに、その特別な力を分け与えることができるのだ』
エリザベスの力は漲っていた。これまで感じたことのないほどに身体の中から溢れ出ていた。この力は、愛する者に捧げられる力なのだ。
「止まりなさい」
エリザベスは共に駆けているクリストファーに声をかけた。
クリストファーは不思議に思いながらも従った。
「クリストファー、あなたを愛しています」
エリザベスはクリストファーの前に歩み出て、真正面から見据えると、そう想いを伝えた。
エリザベスの突然の告白に面を食らったが、クリストファーはこれが最期だからだろうかと解釈し、それに応えて自身の想いも伝えた。
「私もです。エリザベス様をお慕いしております」
エリザベスはクリストファーの返答にニヤリと笑ってみせると、もう一歩近寄ってくちずけをした。
クリストファーは驚いて狼狽えたが、顔はほころんでいた。
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