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敵は射手のいる方角を背にするように位置を変え、木の裏に隠れている二人に向かって話しかけた。
「お前は誰だ? どこのやつだ?」
バンパが息を荒げながら返す。
「誰でもない」
「なぜそんな話をする」
「10年前に行方不明になったままの王女を攫った犯人はバンパで、その王女を自分の妻にと育てていると噂に聞いた」
「この女は俺の娘だ」
「そうだろうよ。ところであそこで弓を構えている仲間は5人、そして20人の仲間が今こちらに向かっている。お前たちの仲間を倒した後でな」
「目的はなんだ」
「そりゃあ決まっている。バンパの娘さ」
「俺の娘になんの用がある」
「用ならいくらでもあるだろう。女にしかできないことは男以上にあるんだから」
バンパは会話を続けながら、エリザベスに合図を送っていた。自分が攻撃を仕掛けたら、エリザベスは隠れ場所へ逃げろと。
エリザベスはそれに承諾をせず、考えついた作戦をバンパにいくつも伝えていた。エリザベスには彼女にしかできない奥の手があったのだ。バンパはそれを知っていながらも了承しなかった。エリザベスがその力を使うと、後戻りはできなくなるからだ。
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