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「失礼いたしました。エリザベス様には、別のお部屋をご用意いたしております」
クリストファーは無表情のまま言葉を継いだ。
「理由を言っていただける?」
エリザベスも冷静に言葉を返す。
「すぐお隣ですのでご安心ください」
「お尋ね者の山賊に二部屋も用意するなんて、王は太っ腹ね」
「左様でございます。それと、私がお二方のお世話を承りましたので、何でも御用をお申し付けください」
「あなたが?あなたは騎士団の団長でしょう?」
「はい。ですから私がその役を仰せつかりました」
一度大きく目を見開いたエリザベスは、すぐにまた鋭い目つきに戻り、不満を表情にありありと浮かべて見せた。
「エリザベス様にはご入浴の用意と、新しいお召し物をご用意しております」
「何でも御用を聞いてくださるのなら、今すぐにここから出ていきなさい」
「かしこまりました」
表情一つ変えずにそう言うと、クリストファーは静かに退室した。
部屋のドアは閉められないように釘できつく打ち付けてあり、入退室は自由だ。入口には衛兵が立ち、内密の会話もできない。
「バンパ、これからどうするの?」
エリザベスは不安そうな表情でバンパの顔を覗き込んだ。
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