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5 デート当日
メアリーの店の、定休日の朝。
自分を見て顔を赤くしたメアリーに驚きながらも、その反応が可愛くて、嬉しくて。ディアンは、
「メアリー。今日の君は、いつも以上に愛らしいな」
そんなことを言ってしまう。
「まだ、ツナギ……いえ、なんでもないです。ディアンさんは、……その、とっても良くお似合いですね。初めて見る私服ですが」
メアリーは言いながら、ディアンのそばまで来て、呪文で保護の魔法をかける。
「ああ。今日のために用意した」
「え」
「似合ってると言ってくれて嬉しいよ、メアリー」
笑顔のディアンの、その格好は、言葉通り、今日のためにと仕立て屋で仕立てた、紳士服と春先に着るコートだ。
青紫の系統で纏められている紳士服と、濃紺のコートを、メアリーは目を丸くしながら見て、
「……あ、あー……そうですか……」
次に、なんとも言えない表情で、けれど顔を赤くしたまま、
「まあ、作業を始めましょう」
恥ずかしさを隠すかのように速足でもとの位置に戻っていく。
その、一連の動作の全てが愛らしくて、
「メアリー。愛してる」
ディアンは、思ったままを口にする。
メアリーは、一瞬動きを止め、
「……薬の効果ですよ」
ディアンを若干睨みながら言った。
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