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メアリーに、昼はどうするのかと聞かれて。
『逆に、メアリーはどうするんだ?』
『作って食べますけど……』
『俺も、一緒に作って、一緒に食べても良いだろうか。料理も一通り教わるんだ、聖騎士は。だから、変なことはしないと思う。材料費などはあとでちゃんと払うから』
駄目元で、言ってみた。
『……そんな、凄いモノは作りませんよ?』
確認するように、言われて。
『なんの問題もない。君と食卓を共に出来ることは、俺にとって奇跡みたいなことだから』
言ったら、メアリーがまた、顔を赤くするから。
『メアリー。そういう可愛らしい表情は、あまり他の人間には見せてほしくないな』
苦笑しながら言ってしまった。
そして今、メアリーと一緒に作った白アスパラのクリームスープを、食べている。
メアリーと、一緒のテーブルで。
「本当に夢みたいだよ、メアリー。願っていたことがどんどん叶っていく」
「それは良かったです。薬のおかげですね」
「メアリーのおかげだ」
「私が作った薬ですからね」
「そうじゃなくてだな、メアリー」
ずっと。薬を飲む以前から、ずっと。
「もっと前から、こうしたいと思っていたんだ。それが叶って、とても嬉しい」
対面に座るメアリーは、奇妙な顔をして、
「……どういうことです?」
首を傾げる。
「君と、ずっと、こうしてみたかった。そういう意味だよ、メアリー」
「……薬の効果で、記憶が改変されました?」
「そんな効能もあるのか?」
「無いですけど……」
奇妙な顔のまま、食事を再開したメアリーに、
「それなら、少しは信じてくれないか。さっきの言葉も。愛してるという言葉も」
メアリーは動きを止めて、
「……そうですね。効果が切れるまでは、信じます」
「切れてからも、信じてくれると嬉しいんだがな」
ディアンは苦笑した。
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