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空から降りてきたソフィアは、ラファエルの元へ駆け寄った。
ラファエルは剣を投げ捨てて、その腕にソフィアを抱きとめる。
「ソフィア!」
「ラファエル王子! これは一体どういうことなのですか」
ソフィアは困惑したように、泥だらけのオリヴィアとラファエルを見比べていた。
「ソフィア! お前、今までどこに……」
ソフィアはラファエルから少し距離をとると、ガバッと頭を下げた。
「申し訳ありません。実は少し……王宮での暮らしを少し窮屈に感じていて……だからその……次の婚約お披露目の舞踏会で着る新しいドレスを買おうと、街に……」
「ドレスなど、私がいくらでも用意する。お前は王子の婚約者なんだ。もう少し自覚を……」
「……でも、ドレスは自分で選びたかったのです。せっかくの晴れの舞台、好みのものが着たかったから……」
ソフィアはおずおずと言った。すると、ラファエルは困ったように唇を引き結んで、ソフィアを引き寄せた。
「……だったら、なぜなにも言わずに行った? 心配したんだぞ」
「……申し訳ありません」
俯くソフィアを見て、ラファエルは小さく息を漏らした。
「……とにかく無事で良かった。次からは行き場所を言ってくれ。ドレスを選びたいなら、私がどこにでも連れていく。……いいな?」
「……はい」
ソフィアは小さく微笑み、頷くと、ラファエルから離れてオリヴィアとレイルを見た。
「ラファエル王子、あの……オリヴィア様のことでお話が」
「話……?」
「ですがその前に」
ソフィアの顔から、すっと表情が消える。
「オリヴィア様のあの怪我はなんですか?」
「あれは……」
ソフィアは続ける。
「せっかくの可愛らしいドレスが台無しではないですか。大事な顔にまで傷を作って……まさか、ラファエル王子じゃないですよね? ……ね? ラファエル王子?」
ソフィアに問い詰められ、ラファエルは珍しく狼狽した様子でそろそろと後退りした。
「いや、あれは……ソフィアがあの女に連れ去られたのではないかと思って、心配になって……」
「だからって、女性をいたぶるなんて度が過ぎています。オリヴィア様はラファエル王子のかつての婚約者でしょう? 彼女を傷つけたのですか!? どうなんですか? 正直に言ってください」
しばらく沈黙したのち、ラファエルは言った。
「……私がやった。すまない」
ラファエルがなんと、謝った。
オリヴィアとレイルはぎょっとして、ソフィアを見た。
お人好しのお姫様かと思いきや、意外と気が強いようだ。
「では、オリヴィア様に謝りましょう」
「は……? いや、だが」
「己が間違っていたときは、謝るのが筋というものです」
「む……」
ソフィアはラファエルの手を取りオリヴィアに駆け寄ると、
「オリヴィア様、ごめんなさい。私、あなたのこと、なにも知ろうとせずに噂を鵜呑みにしてしまって。それから、ラファエル王子がしたことも併せてお詫びいたします」
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