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婚約破棄されて牢に入ってから、二日が経った。
そろそろ刑が確定する頃だろうか。
追放されたらどこに行こう、などと考えていると、コツコツ、と石を叩くような足音が鳴った。
レイルだ。オリヴィアは立ち上がる。
「レイルくん! そろそろ刑は決まった?」
しかし、レイルは少し焦った様子で言った。
「話している暇はない。オリヴィアさん、逃げるよ」
鍵を魔法でこじ開けるレイルを見つめ、オリヴィアは困惑する。状況が分からない。
「――ソフィアが、議会にオリヴィアさんの死刑を求刑してるんだ」
言葉を失った。
「ど……どうして!? 私、ソフィア様にそこまで嫌われるようなことは……」
たしかに間接的にはしてはいるが、殺されるほどはしていない。
むしろ、こちらは婚約者を譲ったのだから感謝してほしいくらいである。
愛する王子様と結婚してめでたし、ハッピーエンドでいいではないか。
がちゃん、と鍵が開いた音がする。
牢の鍵が開くと、レイルはオリヴィアの手を取った。
「とにかく、このままここにいるのは危険だ! 早くこっちに」
「う……うん!」
オリヴィアはわけも分からず、レイルに連れられ牢を出た。
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