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広瀬「僕はね、ヴィランが好きなんだ。」
一変「何の話だ。」
TOが動きを止めた、きっと理解したのだろう。
勝てないということに。
広瀬「子供の頃からずっと、みんなと"違った"。」
一変「いい加減戻ってこい、広瀬。」
信じたくなかった、一山が"敵"だったときのように。
だから、止めた。けど、意味がなかった。
俺はただ、話を聞くことしかできなかった。
2040年6月2日11:06 午前
広瀬「だからね、頑張って"普通"になろうとした。」
一変「...。」
=====
広瀬「やっぱバッドエンドっていいよね。」
[え?それ変わってるよ?]
僕は、昔からゲームが好きだった。
その中でも、バッドエンドや、敵、闇落ち。
そんなのが好きだった。
あの、主人公が絶望する顔。
あの、救いようのない世界。
あの、残酷な敵の必中攻撃。
そそるんだよね。
"普通"じゃないから、みんなが離れていった。
広瀬「なんでみんな...いなくなるの?」
僕は、孤立した。
だが、大人になって気づいた。
"普通"になれば人は寄ってくる。
そう分かった。
でもね、僕の夢を叶える人物が出てきたんだよ。
この世界をバッドエンドにできる。
みんなが絶望し、ゆがんだ顔を見れる。
そんな人がね、この人なら...何でもできる。
その人が、一山であり、大林一族。
=====
広瀬「君のおかげなんだよ!僕が夢をかなえれたのは!」
そんな...全部...全部俺だったのか?
噓だ...だって俺はただ、救いたかった...だけで。
七瀬「あ、もうそろそろかな。」
え...?
後ろを通り過ぎたのは、戦闘機だった。
なんで...おかしいよ。
そんなバカな。
2040年6月2日11:36 午前
警視庁が爆破した。
もう...何も出来っこない。
何も託されてない。
なにも...何もできない。
私は膝から崩れ落ちた。
一山「だからさ...おいでよ。」
優しい声に、心が安らぐ。
一変「一山...俺は...もう。」
涙がこぼれる。
そして、体に力が入らない。
一山「いっしょに...終わらそう。」
優しい...囁き。
一変「あぁ...このまま...俺も...。」
もう...嫌だ。
何もしたくない。
俺も...最初から...敵になっていたら...。
俺も...人を殺していれば...。
こんなに苦しくなかったのに...!!!
TO[ダメだ...これはマインドコントロールだ...!]
TO[話を聞いてはいけません!大林刑事!]
俺も...人殺しに..."殺人鬼"になっていれば...!
こんな地獄...味わわなかったのに...!
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