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一山「さぁ...。」
俺も...殺していればな。
そんなこと...後悔しても意味ないよな。
一変「なぁ、一山。」
不思議そうに俺の顔を見る。
一変「夢を見るんだ...。」
一変「一族の記憶なんかじゃない...。」
一変「みんなが一族に負けて...日本がつぶれた...そんな夢だ。」
少しの沈黙を後に、一山が安らかな声で言う。
一山「それが"幸せ"なんだよ。」
違う...違う。
そんなの...幸せなんかじゃない。
一山...お前は、騙されてる。
一変「俺が実験で生まれたのは...噓なんだろ?」
下を向き、一山はもう一度顔を上げる。
一山「...あぁ、俺はお前がうらやましかった...。」
一山「俺が逮捕される前...家系図を見たんだ。」
家系図...?
大林一族のなのか?
一山「そしたらさ...俺とお前は兄弟で...それで...手紙が入ってたんだ。」
手紙...誰から誰宛の手紙だ?
一山は...何を知ったんだ。
=====
子供たちへ、
まず最初に、十田。
お前に一変のことはいとこと言っていたがあれは噓だ。
お前たちは生き別れの兄弟。お母さんは、殺し屋だった。
俺はそれに反対だった。だから、最初に生まれた子を俺が一変と名付けた。
殺し屋一族を一から変えてくれと、、、願った名だ。
そして一変。
お前は長男だ。いつかお前の弟が敵対してくるだろう。
その時はお前の出番だ。十田の野望を打ち砕き、この一族を変えるんだ。
一から。すべてはお母さんが殺人一族を継いだからだ。
ごめん。わが子よ。すまない。
=====
一山「そんな内容だった。」
一山「お前がヒーローで...俺は悪役だった。」
そんな手紙を...読んでいたのか。
一山...結局のところ、お前も同じだったんだ。
2040年6月2日11:38 午前
一山「だからさ、俺もヒーローになりたかった。」
一山「ケドなれなかった!」
一山「だから俺は...敵対した。だから、仲間を作った。」
一山「俺は...悪役なんだよ。」
そうだったのか...一山。
お前には...お前なりの正義があったんだよな。
だから...敵対したんだよな...。
でも、お前のしたことは変わらない。
罪を筑縄なければならない。
一変「一山...正義があるから悪がある。」
一変「あんなの...きれいごとだよな。」
一変「ごめん...でも、おとなしく死ぬ気はない。」
一変「俺は...親父に託された....それを果たさなきゃいけないんだ。」
うつむいた表情で、一山は手を差し伸べる。
一山「一緒に...一緒に罪を償おう。」
一変「罪は...一人で償うんだ。」
そういって、一山の手をどけた。
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