第三章-Dream end-4

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一山「さぁ...。」 俺も...殺していればな。 そんなこと...後悔しても意味ないよな。 一変「なぁ、一山。」 不思議そうに俺の顔を見る。 一変「夢を見るんだ...。」 一変「一族の記憶なんかじゃない...。」 一変「みんなが一族に負けて...日本がつぶれた...そんな夢だ。」 少しの沈黙を後に、一山が安らかな声で言う。 一山「それが"幸せ"なんだよ。」 違う...違う。 そんなの...幸せなんかじゃない。 一山...お前は、騙されてる。 一変「俺が実験で生まれたのは...噓なんだろ?」 下を向き、一山はもう一度顔を上げる。 一山「...あぁ、俺はお前がうらやましかった...。」 一山「俺が逮捕される前...家系図を見たんだ。」 家系図...? 大林一族のなのか? 一山「そしたらさ...俺とお前は兄弟で...それで...手紙が入ってたんだ。」 手紙...誰から誰宛の手紙だ? 一山は...何を知ったんだ。 ===== 子供たちへ、 まず最初に、十田。 お前に一変のことはいとこと言っていたがあれは噓だ。 お前たちは生き別れの兄弟。お母さんは、殺し屋だった。 俺はそれに反対だった。だから、最初に生まれた子を俺が一変と名付けた。 殺し屋一族を一から変えてくれと、、、願った名だ。 そして一変。 お前は長男だ。いつかお前の弟が敵対してくるだろう。 その時はお前の出番だ。十田の野望を打ち砕き、この一族を変えるんだ。 一から。すべてはお母さんが殺人一族を継いだからだ。 ごめん。わが子よ。すまない。 ===== 一山「そんな内容だった。」 一山「お前がヒーローで...俺は悪役だった。」 そんな手紙を...読んでいたのか。 一山...結局のところ、お前も同じだったんだ。 2040年6月2日11:38 午前 一山「だからさ、俺もヒーローになりたかった。」 一山「ケドなれなかった!」 一山「だから俺は...敵対した。だから、仲間を作った。」 一山「俺は...悪役なんだよ。」 そうだったのか...一山。 お前には...お前なりの正義があったんだよな。 だから...敵対したんだよな...。 でも、お前のしたことは変わらない。 罪を筑縄なければならない。 一変「一山...正義があるから悪がある。」 一変「あんなの...きれいごとだよな。」 一変「ごめん...でも、おとなしく死ぬ気はない。」 一変「俺は...親父に託された....それを果たさなきゃいけないんだ。」 うつむいた表情で、一山は手を差し伸べる。 一山「一緒に...一緒に罪を償おう。」 一変「罪は...一人で償うんだ。」 そういって、一山の手をどけた。
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