第二章-Dream again-2

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タカシ「お疲れ様です!」 大林「あぁ、君か。」 今は、昼休憩だ。 同僚が、コンビニへ行ったり、 先輩が、弁当を開けたり、 いろんな人が食堂へ入ったりする。 警察署のお昼は賑やかだ。 僕は、大林刑事の隣に座り昼食をとっている。 今日は、殺人事件がなくて平和な一日だ。 大林刑事はいつも通り、暗い。 大林刑事は何かオーラがある。 それが何かはわからない。 でも、大林刑事は友達想いだということはわかる。 タカシ「あの事件について教えてもらえますか?」 大林「...個人情報。人権侵害。」 大林刑事は口が堅い。 というか、口数が少ない。 ザザッ 無線が鳴った。 大林刑事は鋭いまなざしで素早く無線を手に取り、 急いで走っていった。 タカシ「ちょっと待ってください...大林刑事!」 自分は警察署内のLINEを見ると、 本部が ===== 東京都渋谷区の勝又コーポ(203)にて、殺人事件です。 被害者は20代の男性。 犯人は30代男性。何らかの問題で喧嘩をしたと思われる。 服装は、灰色の長ズボンに、白い無地のTシャツ。 未だ逃走中とのこと。 ===== 僕は急いで大林刑事を追いかけた。 パトカーへ乗り、サイレンを鳴らし現場まで直行した。 現場につき、大林刑事はお構いなく部屋に入り、死体を観察していた。 僕は、死体を見るのをためらったが頑張って観察した。 被害者は腹部と胸部を刃物で刺された。 そんな感じで、部屋は散らかっている。 抗ったであろうと気にできた顔と手首のあざ。 宿の事件を思い出す。 穴井「被害者は打撲があり、部屋が散らかっているため 何らかの理由で争った痕跡があります。」 鑑識官の穴井さんが話し出した。 鑑識官の中でも優秀らしい。 大林「お前には何が見える。」 急な質問ですぐには答えれなかった。 タカシ「...死体ですかね。」 大林「そうか。」 なんなんだ? 質問しといてその返しはないだろう。 そして毎回思う、大林刑事は僕には見えない何かが見えている。 目線は死体を通り越して心でも見ているんじゃないかと思うほど、 いつも、すごく遠くを見ている。 大林刑事には何が見えているのだろうか。 大林「犯人と被害者は三角関係にあった。」 また急に大林刑事がしゃべりだした。 自分は急いで一応のメモを取った。 大林「それで、犯人と被害者で話していると彼女の話題になり。」 大林「犯人は彼女のことを異常に愛していた。一方的に。」 タカシ「ストーカーじゃないですか...。」 大林「二人は激しい口論の末、喧嘩になり犯人が刃物を手に取った。」 大林「被害者は抵抗したが、殴られ気絶。」 タカシ「そして、刺された...?」 大林「そうだ。」 そうして、犯人が見つかり。 無事事件が解決した。大林刑事は何度も殺人事件を解決し、賞状をもらった。 だが、大林刑事は何も喜ばず、賞状を廊下のゴミ箱に捨てた。 大林「私は賞状を貰ってはいけない。そんな人間じゃない。」 タカシ「でも、すごいじゃないですか。」 大林「私のせいで友は死んでいった。 殺人鬼の私が幸せになってはいけないんだよ。」 タカシ「でも、時効じゃないですか。」 大林「君は自分のせいで友が死ぬところを想像したことがあるか。」 何も言い返せなかった。 それは確かにつらいことだ。 大林「あの事件が終わった後。友がいたんだ、いるはずのない友が。」 タカシ「...。」
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