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準備は揃った。
あとは上手く行くかどうか...。
熊谷「あの...大林一族からメールが...!」
メールの内容はこうだった。
=====
明日の5:00に
中心部にいる、一部の人間を殺害します。
心して待っていてください。
=====
明日の五時...間に合うか...?
一部の人間。
大林「無能な人間...か。」
熊谷「え?」
大林「なんでもない。」
私は今、五十嵐を廃工場へ潜伏させている。
大林一ノ瀬が死に、
五十嵐押も死に、
タカシと私が拉致され、
大林一族の拠点となる場所...!
大林[大丈夫か、五十嵐。]
タカシ[はい。僕ぐらいの男と、ベッドで寝ている長寿...七海警視!?]
大林[やはりな。]
そう。私は気づいていた。
七海は、七海じゃない。
七海は、あの爆破事件で外山警部と共に爆死していた。
だが、ジャックされていた時には門を構えていた。
死んでいたはずの七海警視が。
七海警視はもういない。その七海は、大林だ。
タカシ[へ!?]
大林[おい!大きい声出すな...!]
バン
ザザァァ
大林「おい!おい!五十嵐!」
くそ...なんでいつも、こうなるんだ。
大林「熊谷!本部を頼む...!」
勢いよく椅子をおり、廃工場へ走った。
風が私の体を突き抜けていく。
熊谷「へ...はい!」
ザザッ
警察署用の無線が鳴る。
七海[おっとぉ、捜査主任官は私です。勝手に動かれては困ります。]
大林[黙れ...五十嵐はどうし...!]
七海[あれぇ?ここにタカシ君が来ていたんですかぁ?]
まずい...気づいていなかったのか。
くっそ...口が滑った。
間に合わない...そこら辺のタクシー!
いた...!
「ご乗車ありg...」
大林「あの、麻布の廃工場へ行ってください!急ぎです...!」
「わっかりかました...!」
車が走り出す。
慣性の法則で体が動く。
運よく青信号ばかりだ。
「警察さんですか?」
大林「そうですが。」
2038年10月28日10:47 午前
「大林一族の汚点で有名なあなたが、
このタクシーに乗ったのは災難でしたね。」
大林「...!?」
助手席から男が現れ、私に銃を向けた。
土浦「やぁやぁ!久しぶり!」
...こいつっ!
というか今どこへ向かってる???
土浦「よかったですね、丁度我々も廃工場へ向かうところでした。」
土浦「な、篠原。」
篠原「あぁ。」
篠原...?
なんで...逮捕したはずじゃ...?
てことは快斗とかいうガキも...?
土浦「あぁ、快斗は殺したよ!アイツ無能だから!」
無能ね...。
篠原「もうすぐ着くぞ。」
土浦「はーい!目隠ししてね!」
目隠し、手足は結束バンドで拘束されている。
現在は正座の体制で座らされている。
2038年10月28日11:30 午前
これ...相手のアジトなんだよな。
結構やばい状況じゃないか?
だが、俺が殺されることはない。
なぜなら、こいつらの計画に必要だからだ。
土浦「戻りました!一ノ瀬様!」
十田「一ノ瀬様は今重体なのだ。少し音量を下げろ。」
一ノ瀬「いや、いい。」
この爺の声...一ノ瀬か?
ベッドで横になっている。
呼吸器や点滴をしている。
明治から生きているということはとうに100歳超えてる...。
早く老衰しろよ...。
タカシ「大林刑事!助けて!」
...っ!
五十嵐...。
すまない。
動けないんだ。
もう詰みかもしれない。
カチャ
篠原「お前、洗脳できない。殺す。」
え?
ちょっとまてよ。話が違うじゃないか。
必要じゃなかったのか...?
まてよ...俺はまだ...死ねないんだ...!
一ノ瀬「...撃て。」
まっ...。
バァァン!!!!
タカシ「大林刑事ぃぃいい!」
血が飛び散る。
生ぬるい。
気持ち悪い。
嫌な音。
人が死ぬ嫌な音。
あぁ...。
ごめんなさい。
俺はやっぱり、無力だった。
俺は贖罪を果たせただろうか。
みんなは許してくれるのか。
いいや、許しを請うな。
一生、罪に流れられないまま死ぬんだ。
みんな、ごめん。
一ノ瀬「...。」
十田「誰だ...。」
土浦「し...篠原?」
2038年10月28日11:33 午前
廃工場の入り口から誰かが入ってくる。
足音がする。威圧感がすごい。
目隠し越しにも感じる。
あれ...俺は打たれていない...?
タカシ「...警部!」
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