第二章-Dream again-2

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そうして、零班、一班、a班、b班、c班は 無事クッションに着陸することができた。 東京タワーは上部が爆破され、半壊状態だ。 港区は黒くなっていた。 消防士が建物を消化し、レスキューが被害者を救助し、 警察官が犯罪者を連行している。 大林「まるで、災害復旧工事のようだな。」 あぁ、全て、全て終わった。 一か月に及ぶ大林一族による殺人事件、爆破テロ。 終わったんだ。 SWATの助けが無ければ、今頃死んでいただろう。 タカシ「Thanks」 そう言うと、キースが親指を伸ばした。 仲間にありがとう。 一族にさようなら。 そして、全ての警察に、お疲れ様です。 ----- 朝垣「はぁ...終わったな。」 やっと終わった。 この長い長い大林一族による事件が。 港区は半壊状態で、地獄のような景色だ。 SWATの要請をしたのは正解だった。 お疲れ様だ、大林一族。 あぁ、大林。 貴様は...敵じゃないのかもな。 そして、朝垣はゆっくり本部へ向かった。 ----- 億満「ふわぁぁ...。」 あぁ、眠たいぃ。 終わったのかぁ。 なんか、短かったなぁー。 大林一族は新しい国家を作ろうとしていたんだね。 まぁ、その考えも間違えじゃない。 実際、今の時代、新たな宗教が必要とされてる。 新しいテクノロジーは難しいし、 子供の個性は母親が決める。 こんな時代、いやだよね。 まぁでも、そんな世の中もいいのかもよ? そして、億満は静かにタバコを吸った。 ----- 広瀬「うーん。」 終わったね。 いや、終わったんだけど。 足りないよね~。 なにか、足りないんだよね。 そして、広瀬は歩いた。 ----- 紫龍「お前らは...いい奴だったよ。」 行きつけの猫カフェの猫が死んでいる。 可愛い顔が、ぐちゃぐちゃだ。 最悪、最低だ。 ゆっくり休めよ。 おめぇらの分までおらぁ生きるからよぉ...。 悔いあるよなぁ...すまねぇ...。 そして、紫龍は優しく猫を埋めた。 ----- 熊谷「タカシさん!」 終わった...のか? 何はともあれみんな無事...大林刑事!? 大丈夫なのか...!? 助けなきゃ! 「熊谷さん!こっちに点滴ください!」 くそ...忙しいな...! 大林刑事...タカシさん...お疲れ様でした...! そして、熊谷は急いで点滴を持って行った。 ----- 大林「...。」 終わった。 本当に終わったのだろうか。 私は、これで、よかったんだろうか。 私は...贖罪を果たせただろうか...? 皆は...許してくれるだろうか...? いいや、許しを請う立場じゃないよな。 私は、前を向き歩こうとした。 大林「...みんな。」 前を向いた先には、死んだはずの旧友がいた。 十影、 千田に、 三原も、 それと二郎、 .....そして、五十嵐。 十影「もういいよ、大林。」 ごめん...十影。 千田「俺たちのために、こんなやってくれてありがとうな。」 なんで感謝するんだよ...千田。 三原「この際だから言うけど、私、大林君のこと好きだったんだ。」 そんなの知ってるよ...三原。 二郎「俺たちが死んだのは、大林のせいじゃない。」 俺のせいだ...二郎。 五十嵐「これは胸に刻んどけ、"大林のせいじゃない"俺は楽しかったよ。 あんな大仕事、来たことないからね。 しかも、なんか警察みたいでワクワクした。 みんな大林に贖罪なんか求めてない。お前は、 お前らしく喜べ。お前らしく怒れ。 お前らしく哀れろ。お前らしく楽しめ。 そして最後に一言、お前らしく生きろ。」 なんで...なんでそんなに優しいんだよ。 みんな...バカじゃないの? もっと...もっと自分を大切にしろよ。 ごめん...。 大林「みんな、ごめん。」 千田「謝るなって。」 ...みんな。 ...いかないで。 大林「...ありがとう。」 俺がそう言うと、みんなは安心したように笑い、消えていった。 ありがとう、みんな。 俺は自分で自分を束縛していたんだ。 あぁ、結局俺だったんだな。 みんなは、贖罪なんて求めてなかったんだ。 贖罪を求めているのは、罪悪感に押しつぶされた俺自身だったんだ。 そうだったんだね。 改めて...。 みんな、ありがとう。 ----- 2038年11月24日7:32 午前 そうして、14年ぶりの事件であり、一か月に及んだ大林の事件。 "大林一族無差別大量殺人東京都港区事変"は幕を閉じた。 SWATと零課により、大林一族は制圧された。 この事変は、全国各地に報道された。 そうして、事変がキッカケで零課が広まり警察への関心が深まった。 天才ゆえに孤独だった、 天才ゆえに理解されなかった。 孤独でもいいじゃないか、理解されなくてもいいじゃないか。 個性は人それぞれなんだから。 一番の目標だった、大林という名字の差別は未だ無くなっていない。 大林=殺人鬼という考えは深く根付いているらしい。 そんな人を私は助けるために、差別への理解を深めるイベントをしている。 私は、今。 自分の名字を誇っている。 だって、天才一族の一人なんだから。 私の目標は、変わっていない。 大林一族を一から変える。 私は、大林一変だ。 ----- 2038年12月10日7:42 午前 成田空港 今日は、大林刑事が高知へ行く日だ。 国家公務員として採用された大林刑事は国内どこへでも異動が可能なのだ。 タカシ「...色々迷惑をおかけして、すいませんでした。」 大林「迷惑かけたのは私です。検察官なのに、無理矢理警察署に入れて。」 大林「申し訳ない。」 タカシ「...また、会えますかね。」 大林「また会えるさ、然るべき時が来たらな。」 大林「それでは。」 タカシ「...。」 大林刑事はそう言うと、静かに去っていった。 タカシは大林刑事の背中を見つめた。 今までとは違う、体が軽そうだった。 タカシ「さよなら...大林刑事。」 大林刑事は左手を挙げ、通路へ入っていった。 ----- 2040年5月11日4:22 午後 ある日、高知警察署に封筒が届いた。 封筒の中には、小さな紙切れが丁寧に四つ折りにしてあった。 紙切れを開くとそこには、きれいな字で"D.C"と書かれていた。 戸塚「ダ・カーポ?」 有田「なんすかそれ?」 D.C...か。 なるほどな。 大林「音楽記号で始めへ帰ると言う意味だ。」 始め...ね。 落ち着いた雰囲気で、戸塚と一緒にパトカーへ乗り込む。 赤色灯が赤く光り、耳を通り抜けるようにサイレンが聞こえる。 大林「然るべき時...か。」
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