第三章-Dream end-1

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春日「所詮、殺人一族だもんな?」 戸塚「やめてください!」 いや、いいんだ戸塚。 差別はなくならない。 人の考えが一つじゃない限りね。 成田「今は、落ち着くときでしょう?」 落ち着いた口調で話すと、戸塚が不思議そうに何かを持ってきた。 戸塚「封筒が届いてるんですけど...何も書いてないんです。」 封筒の中には、小さな紙切れが丁寧に四つ折りにしてあった。 紙切れを開くとそこには、きれいな字で"D.C."と書かれていた。 戸塚「ダ・カーポ?」 有田「なんすかそれ?」 D.C...か。 なるほどな。 大林「音楽記号で始めへ帰ると言う意味だ。」 始め...ね。 落ち着いた雰囲気で、戸塚と一緒にパトカーへ乗り込む。 赤色灯が赤く光り、耳を通り抜けるようにサイレンが聞こえる。 大林「然るべき時...か。」 最近の既視感はこれだ。 やはり、14年前と同じ。 大林一族...。 なんなんだ。 いつまで続くんだ、この悪夢は。 戸塚「どこいくんですか...?」 大林「んー、高知県警。」 最近の既視感...やはり大林一族がまだいるのか。 また、記憶が夢として反映されるようになった。 一族の行動と何か関係があるのだろうか。 戸塚「大林って苗字の人、全員が人殺しってわけじゃないですよね    最近の俳優も大林って苗字っすよ。」 えぇ、そうなのか。 あまりテレビ見ないからな。 大林「そうだな...大林は洗脳教育を受けて殺人鬼へ成長するんだ。」 大林「だから、洗脳が行き届かなかった分は、    人殺しじゃない普通の人間として育つ。」 自論だけど...。 一族全体に洗脳なんてできるはずない。 いつか、どこかで途切れるハズだ。 戸塚「洗脳って...すごいんですね。」 大林「あぁ。」 ブレインウォッシングまたの名を、洗脳。 強制力を用いて人の思想や主義を根本的に変えさせる。 一ノ瀬の思想を、頭の中へねじ込まれる。 天才以外はいても意味がない。 そういう考えを毎日、毎日、頭にねじ込められる。 きっと、毎日が苦痛だっただろう。 大林「一ノ瀬...。」 ハンドルを強く握った。 信号は赤だった。 戸塚「もうすぐですね。」 大林「あぁ。」 信号が青になり、ブレーキを抜く。 アクセルに力を入れて少しづつ加速していく。 65km/hで一刻も早く走る。 色んな書類が入っているファイルを横目で見る。 大林一族からであろう、D.Cと書かれた紙きれも入っている。 戸塚「もし、一族から刑事へ送ったのなら、    なんで大林刑事が、高地にいることを知ってるんでしょうね。」 いるんだろうな。 また、"身内"に。
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