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だが、以前経営していた商会の商品が王室御用達の候補に上がったこともある。 父の人柄も周知されている。 その辺りのことも考慮されて。 人徳なのか文官の補佐の補佐、 という正規職員ではない、よく分からないポジションのお仕事に就いている。 我が家の貴重な収入源なので、父にはなんとか続けてもらいたいというのが家族の願いだ。 そんな父からの呼び出しなので、不安が募る。 「おぉ、来たか、フィオ、ティナ。  フィオ、お前に縁談の話が来た。というか、結婚の申し入れがあった。 というか、我が家の現状は知っているな?  すまん、フィオ! なのでお前の気持ちがどうであれ、断れない! 不甲斐ない父を許してくれーーーー!」 自分の言いたいことだけ言い残して、父は逃げるように走り去った。 「は?」 「ちょっと、お父様待ってください」 残された私達は顔を見合わせる 「フィオ姉さま?」 どこか思い詰めた表情のフィオーリは、父が置いて行った手紙に素早く目を通すと、クリスティナの肩を掴む。 「クリスティナ!」
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