2

3/3

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「なんでしょう? フィオ姉さま」 「お相手はロシュフォール伯爵様だそうよ」 「ロシュフォール伯爵様といえば、社交界に行かない私達の耳にも届く程の大貴族ではないですか! すごいですフィオ姉様! いったいどこでお知り合いに?」 「会ったことないわ。だから、クリスティナ、よく聞いて。 結婚式の1ヶ月前には邸に引越してほしいそうよ」 「式の前にですか? ふふふ、フィオ姉様と早く一緒に住みたいのでしょうね」 「だから、クリスティナ、いいこと、1ヶ月私に成りすましてちょうだい。」 「は⁉︎ フィオ姉様、なんの冗談ですか?」 「絶対にバレないから大丈夫! じゃ、そういうことでお願いね? あ、髪色は染めてね」 「いえいえいえ、フィオ姉様、ちょっと、どういうことですかーーー?」 フィオ姉様の走り去る姿が父と重なって見えて、やはり親子だなとほっこりした気持ちになる。 って、そうではなくて、お二人共ちょっと身勝手すぎます。 仕方なくフィオ姉様の残していった手紙を拝見する。 1ヶ月前ってこれ今日ではないですか⁉︎ お父様、言い出せなくて黙っていたのですね⁉︎ いやいやいや、もはや自分で染めるしかないですね。 染料が思いの外高かったので、1ヶ月だけ色が持てばいいかなと安い染料で金色に染め上げた。 そして、到着早々ロシュフォール伯爵様からは意味不明の宣言をされた。 結婚するのだからと、心の中で旦那様と呼んだのがいけなかったのでしょうか………
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加