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イカ墨パスタ?
デザイン専門学校 パソコン室。
「これで、DTPの課題は終わりと」
《りんどうりっか》竜胆立夏は、DTPの課題(illustratorソフトを使ったパッケージデザイン)データをパソコンの本体(自分の授業用フォルダ)とUSBメモリーに二重に保存すると、出来た課題を先生に提出する為に印刷する。
※紙媒体とデーター種類提出。
_30秒後_
印刷された課題がプリンター機から出てくる。
立夏は、プリントされた課題を手に取り、完成具合を確認する。
「ん? ちょっと黒の配色がとちょっと自分の思っていた色と違ったけど……まぁ? いいか。今日中にこの課題、早坂先生に提出しないと点数貰えないし」
そう自分に、言い訳しながら、課題を自分の席まで持って行こうとしたら、
「相変わらず、自分の甘いなぁ?」
「!」
立夏は、自分以外、誰もいないはずの部屋に突如聞こえてきた声に、後ろを振り返る。
すると、2か所ある入り口にドアの所に、同じクラスの梶原蒼汰が、カバンを右肩に抱えながら立っていた。
「なんだ蒼汰か?」
「なんだ蒼汰じゃあねぇし! ってか? 立夏! まだ残ったのか? もう18時30半だぞ!」
確かに、蒼汰の言う通り、生徒が、学校に残れるのは19時まで、それ以降は、学祭などの特別な時以外は残ることはできない。
だから、蒼汰が言っていることは間違えではない。
でも……
「しょうがないだろ! DTPの課題が今まで掛かったんだから!」
「あぁ! 商品パッケージの? えっ! あれって、先月出されたDTPの課題じゃあなかったっけ?」
立夏の言葉に、蒼汰は、靴を脱ぎながら部屋の中に入ってくる。
そして、立夏の隣まで来ると、彼の手から課題を奪う。
「なにするんだぞ!」
「お前が、どんな商品パッケージデザインしたのか? 見てやろうと思って。 えっ?」
そこに描かれていたのは、まさかのパスタはパスタでも、イカ墨パスタだった。
「なぁ? りっ……」
「俺、パスタの中じゃあ、イカ墨パスタが一番好きなんだよ! 食べた後、しばらく、歯が真っ黒になるけど」
蒼汰が言おうとしていたことを先回りして伝える。
「あぁ! 確かに大変だよなぁ? 歯についた墨落とすの。イカ墨パスタの自体は美味しけど」
「だろ? あぁ! お前と話してたら、イカ墨パスタが無性に食べたくなってきた!」
固まっている蒼汰の手から課題を奪い取り、そのまま席に戻り、課題の裏に自分の名前と学科名を書き、パソコンの電源を落とすと、床に置いていた荷物を手に取り、再び蒼汰の所に戻ってくると、彼の左腕を掴み、
「おい! 蒼汰! 職員室行くぞ!」
「あぁぁうん」
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