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【番外編】社員旅行のあとに
佐々木が一人暮らしをするマンションに旭が訪れたのは、とある金曜日の夜。料理が得意だと聞いたので夕飯を食べさせてもらうことにした。そして土日は一緒に過ごす予定だ。部屋に入り何となく予測はついていた旭だったが……
「この状態でよく僕を呼べたね」
服は投げっぱなし、本は積み上げられたまま。物が散乱していて足の踏み場がない。
「え?こんなもんだろ、男の一人暮らしなんて。そりゃ女の子連れ込むなら多少は綺麗にするけどさあ。男同士だし、いいかなって」
チュ、とほおにキスをする佐々木。
「……いいけどさ」
ほおから首すじ、耳たぶに移動した佐々木の唇はやがて旭の唇に重なる。
「ん……」
佐々木の舌に自分のを絡めながら、腰に手をやり体を密着させる。するとお互い相手の下半身の主張に気が付いた。
「期待しすぎ」
佐々木が笑うと、旭は顔を赤らめて口を尖らせた。
「お、お前だって!」
「まあ時間はたっぷりあるし。とりあえず飯食おうぜ」
体を離し、佐々木はキッチンに向かう。手持ち無沙汰となった旭は散らかっている部屋を片付けはじめた。
「座っておけばいいのに」
「部屋が綺麗な方がいいだろ」
ぶつぶつ言いながら服をしまう旭を見ながら佐々木はつぶやいた。
「同棲したら尻に轢かれそうだな、俺」
「なんか言ったか?」
「何でもなーい!」
【了】
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