3.同室にいたのは

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3.同室にいたのは

しばらくすると尿意を感じて、旭は目を開けた。ぼんやりした視界に入ったのは見慣れない和室と天井。畳の香りが鼻につく。 (いつの間に寝たんだろ) 電気をつけたままで、時計を見ると二十四時過ぎだ。トイレに行こうとした時、隣に背中が見えて、島崎が戻ってきたんだなと思いながら、起こさないように静かに移動して用を足した。 (それにしても早いな) さっき島崎たちと別れたのは二十一時前だ。あのメンバーでこんなに早く終わるはずがないのに、と旭は不思議に感じていた。真っ赤だったから、飲みすぎて戻ってきてしまったのだろうか。 トイレから戻り、島崎のことが少し心配になった旭は、様子を見ようと正面から顔を覗き込んだ。するとそこに寝ていたのは島崎ではなかった。 (さ、佐々木?) スウスウ、と寝息を立てて寝ているのは、佐々木だった。旭は一瞬にして目がさめる。なぜ佐々木がこの部屋にいるのか。パニックになりつつも、声を出さないように我慢した。 そしてふと気がついた。島崎と一緒にいた数人のメンバーには、佐々木と同室の同僚がいた。おそらく佐々木とその同僚の部屋で麻雀が行われているのだろう。佐々木が眠くなってしまったので島崎が自分と部屋を変わったら良い、と言ったのではないか。 (どうしよう、どうしよう) 慌てる必要はないのに佐々木の寝顔を見ながら右往左往してしまう。酒のせいもあって、佐々木は全く目覚める様子がない。それに気づいた旭は、顔の前に正座して佐々木の顔をじーっと眺める。寝顔が見れるなんて、と思わず取り出したスマホでその顔を撮影し、ゆっくりと自分の手を伸ばして佐々木の頰に触れた。 少し伸びたヒゲのせいでざらついていた佐々木の顔。旭はもう天国に登る気持ちだった。 (島崎、ありがとう! 神様ありがとう!) きっとこれは社員旅行プロジェクトを頑張ってきた自分へのご褒美なのだ、と旭は心の中で感謝していた。 その後、頰にスリスリと触れても佐々木はまだ起きない。十分くらい旭は佐々木の顔を眺めながら触れていた。まつ毛が長くて、少し眉間にしわを寄せて寝ている佐々木。その顔に触れているだけで、もう満足だったはずなのに。 旭は自分の手を頰から首筋へと移動させる。少し汗ばんでいる首筋は日焼けしていて男らしい。そして旭はおずおずとその首筋に顔を近づけて、ゆっくりと舐めた。 (……しょっぱい) 汗の香りと、酒の香り。そして吸っていたタバコの香り。その全ての佐々木の香りに、旭は頭がくらっとした。 ゆっくりと舌を動かしていき、すっかりはだけてしまっている浴衣から覗く肩や胸に舌を這わせていく。胸元に辿り着くころには、旭ももう自分を止められないことに気づいていた。腰の浴衣の帯を、右手で緩めて浴衣を開くと、佐々木に引き締まった体が目の前に現れた。 「ん……」 急に佐々木が声を出して旭の方に手を伸ばしてきたので、旭は慌てて体を離す。 (やばい、やりすぎた?) ドキドキしながら佐々木の様子を見ていると、伸ばされた腕をそのまま下ろして、さっきまで横向けになっていた体を仰向けにした。単純に寝返りを打っただけだったのだ。 旭は胸をなでおろす。そして再度佐々木に触れるべきか迷ったが、仰向けになったことでさらに触れやすくなったことに気づき、生唾を飲み込んだ。そして気が付いたことがあった。 浴衣を剥いだ下半身に見えたもの。それは勃起している佐々木のソレだった。単に生理現象なのか、旭が触っていたからなのか。 「……風俗行けなかったかわりに、気持ちよくしてあげる」 旭はそう呟くと手を伸ばす。
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