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5.夢じゃない、現実
旅館の廊下で旭は佐々木に問い詰められていた。
「風俗のあるところがいいって、言ってただろ?」
腕を組み、佐々木が口を尖らせる。
「ごめん、行き先を変えることはできなかったんだ」
頭を下げて旭が謝ってもまだふくれっつらだ。
「残念だよ、お前に期待していたのに」
「……ごめん」
しばらく沈黙が続いたあと、ポツリと佐々木が呟く。
「でもさあ、もう俺、勃っちゃったんだよね。旭が気持ちよくしてくれないかな」
「え?」
旭は目をパチクリとしながら佐々木を見る。顔を見ながら旭はふとこれは夢だと気づいた。こんな変なことを佐々木が言ってくるわけがない。
そして佐々木がゆっくりと旭のボクサーパンツを脱がしていく。夢の中だから、都合よく誰も来ない。慣れた手つきであっという間に全裸となった。あれよあれよという間に、佐々木が旭の後ろをいじっていた。
「ちょっと、待って佐々木……」
「なんでだよ、お前だってさっき俺ので遊んでたじゃん」
慣れた手つきで後ろをほぐす佐々木の指に、旭は声を抑えられない。そしていつの間にか前にも手が伸びて旭のソレを握る。
「ウッ……」
だんだんと大きくなるソレと後ろの疼きで、旭は体が熱くなってくる。
「何でこんなにうまいんだよ、佐々木っ」
自分の言葉にハッと旭は目を開けた。またさっき見た天井が目に入る。じんわりと汗をかいているようだ。
(やっぱり、夢か)
そう思った瞬間……
「……っ?!」
横向きで寝ていた自分の下半身がやけに涼しいことに気づく。そして尻の辺りの違和感と背中に人の気配。恐る恐る肩越しに顔を向けた。
すると、寝ているはずの佐々木がすぐ後ろにいて旭が振り向いた途端目があう。茶色い瞳が一瞬大きく見開かれたが、すぐに笑顔にかわった。そして旭は自分の格好にギョッとした。
ボクサーパンツは布団の向こうに飛んでいて、浴衣は腰のあたりから上に捲れ上がっていたから。つまり佐々木に尻を丸出しにしているような状態になっている。
「〜〜っ!」
(な、何で佐々木にこんなとこ見られてんだ!)
旭は慌てて、浴衣を元の位置に戻そうとすると手を掴まれた。
「な……」
「目が覚めたんなら仕方ない、そのままでいろよ」
佐々木が耳元でそう言ってきたので、旭は思わずブルッと体を震わせた。どういうことだ、と聞き返そうとした時。
「ひあっ……?」
後ろの孔に彼の指が入り込んでいることに気がついて思わず旭は声を出す。
「声がデカいよ、隣の部屋に聞こえてもいいの?」
声がどうとかの前に自分が置かれているこの状況の方が気になる。どうして佐々木が後ろを弄ってるのか。まだ夢なのか、と旭はパニックになっていた。
(何で……!?)
佐々木が指で中をかき混ぜながら、ギュッと前のモノを握ってきたので、旭はまた嬌声を出した。寝る前に果てたはずのソレは瞬く間にグン、と大きくなっていく。
(いや、違う)
下を見てみると白濁したものが浴衣についている。寝る前にはなかったはずだ。
(僕、一回だしてる……?)
そんなことを思っていると急に電気が走ったような感覚に襲われ、体が硬直した。佐々木の指が、旭のいいところを当ててしまったようだ。
「ごめんな、旭。お前が寝てるの見て、我慢できなくなったんだ」
「は? いやちょい待っ……」
何故佐々木が自分を見て我慢できなくなるのか。男同士の手順を知っていて、気持ちよくすることができるのか。そんなことを旭が考えていると、尻に何かがあてがわれた。
ソレは多分、佐々木が寝ている時に、愛してやったものだろう。混乱している旭をよそに、佐々木がゆっくりとそこに侵入してくる。指とは比べ物にならない程の圧迫感。
「んんっ、ちょ……!」
「あー、すげえ気持ちいい」
尻から入ってくるその感触に旭が思わず仰け反ると、佐々木が首筋を舐め、そのまま耳たぶを齧る。
「や……あ、ああ……っ」
だんだんと早まってきた腰の動きに、旭の声もシンクロしていく。太ももと尻を打ち付ける音と、繋がっているところの音が部屋に響く。佐々木がどうして挿れてきたのか、とかもう旭は考える余裕がなくなってきて、快感に正直に声を出す。
「あっ、あっ……ささき、そこ……気持ち、いい! もっと……」
「そっか、ここが感じるんだな」
一段と強く佐々木がそこを突くと、旭がびくんと体を揺らす。
「んん……! も、やば……」
(ダメだって、もう、出ちゃう……出ちゃう!)
きゅうう、と締め付けると佐々木が少し眉間にしわを作る。
「お前、締めすぎだろ……!」
「だって……あっ、もうだめ ……イく……っ!」
そう宣言した瞬間、旭は思い切り射精すると、佐々木もまた頂点に上り詰めてその瞬間、一気に抜いて立ち上がり、その白濁したものを思い切り旭の顔めがけて発射した。
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