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「よりよいものを世界に提供するため、私たちはいろいろと試行錯誤しています。昼寝などで適度な休息を入れるほうが業務効率が上がること、実験により実証し、その結果をプルーフのあるノウハウとしてアドバイスする、いわゆるアドバイザリビジネスですね。好評をいただいていますよ」
「わかりました。私もぜひ、協力させていただきたいです」
人々のよりよい暮らし実現のために、私もこの身を以って実験台となる。いい話です。ちょっとモチベーションが上がりました。
「それから、4つめ。社宅制度」
「社宅があるんですか?」
「ええ、ここ、ちょっと通勤がたいへんでですからね。社宅住まいでなくても、朝早く仕事をする必要があるときなどは、臨時で泊まることも可能です。
なお、社宅は、夕食付き月額3万。すぐに入居可能です」
「安っ!」
思わず口を突いて出た言葉は、嬉しさ100%、というわけではありませんでした。確かに安いのはありがたいし、通勤も楽になるけれど、でもその安さは逆に怖い。どんなぼろ物件かわからない。そもそも面識ない人と社宅暮らしって、どうなんだろう?
そんな私の想いを察知したのか、おじさまがフォローの言葉を入れてくれます。
「もちろん強制ではありません。いきなりは不安もあるでしょうし、追々、ご検討いただければ。ちなみに、うちの社員の半数は社宅で暮らしています」
「ああ、はい」
今住んでいるアパートはボロいので(それでも家賃は 5万はしますが)、契約更新できるか微妙です。いざというときの受け皿があるのは、確かにありがたい。そう思っていると、
「最後にもう1つ。これは最も大事なことで、この点、先ほどご署名をいただたいた秘密保持契約と関係してくるのですが、特にご注意いただきたい」
え、何でしょう? 思わず居住まいを正す私。
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